
坪田:とにかく、数多く曲を作った方がいいです。
城之内:これは同感です! 自分で曲を仕上げる経験をたくさん積んでください。
また、シンガーソングライターを目指す方の場合は、作曲のみならず「作詞」というファクターも出てきますし、ギターやピアノの弾き語りでやっていきたいという方もおられると思います。シンガーソングライターを目指す方のための授業やレッスンもありますから、ぜひ、ご相談ください。

坪田:僕は、幼少期からピアノを習ってはいましたが、本格的に音楽にのめり込んだのは、高校の軽音部に所属してバンドを組んでからです。その頃は、ゲーム音楽を耳コピしたり、好きなアニメやゲームの曲のアレンジをしたりと、真似をするところから入りました。数をこなすと、何となく法則性やルールがわかってきます。

城之内:クラシックの作曲技法には「イミテーション」(真似る)という手法があります。 “モーツァルト風の曲を作る”といった感じですね。これはポップスにも応用できますから、好きなアーティストの曲構成を自分で分析してみてください。「この曲はAメロ、Bメロ、サビで、間奏は8小節なんだ」とか。ギターを弾く方なら、コード進行から曲を作るのでも構いません。ドラマ音楽だと、「ジャン!」という2秒の効果音だって1曲になります。こうして作曲に取り組んでいると、自分の心地よいコード進行や構成がわかってきます。それをやり倒していいんですよ。それこそが自分の“芸風”になりますから。「曲作りよりDTMを覚えたい」という要望も耳にしますが、DTM はあくまで、この芸風を再現する手段の1つなのです。

坪田:できるだけ音楽に触れる時間を長く取ってください。また、受け売りなのですが、「作曲体力」を養うことをお勧めします。作曲し続けるスタミナとか気力、アイディアの引き出しの多さという意味合いなのですが、筋トレと一緒で、とにかく数多くの曲を作ることで、作曲体力もついてきます。
城之内:音楽業界は、ゲキバンの場合は締め切りが文化を作るといっても過言ではありません。締め切りに一秒でも遅れたら二度と仕事は来ないし、環境や人のせいにもできません。それでもアニメやゲームのエンドロールに自分の名前を刻みたいのであれば、自分以外にどんな人たちが関わってその作品が生まれるのかを理解し、コミュニケーション能力や協調性を身につけてください。
シンガーソングライターや自分だけの音楽を貫きたいという方の場合には、ぜひ、自分の「芸風」とは何かを自問自答いただき、自分が一番気持ちいいと思う音楽を追求していくための手段を、MDCCで学んでいただければ嬉しいですね。
坪田:そういう点でも、さまざまな立場を目指す学生が集まるPACS、MDCCは、いろいろシミュレーションができるよい学びの場だと思います。作曲家志望であっても、ミュージカルや朗読劇をはじめとしたエンターテインメントに触れる実習が豊富にあり、そこで使用する楽曲を提供する機会も多いです。

城之内:『趣味ではなく仕事・生業』として音楽制作をやる、と決めたのであれば、社会人として当然必要となる知識などを坪田先生から徹底的に吸収してほしいですね。一線のプロから生の情報を得られるのがMDCCの醍醐味です。皆さんには、音楽を主軸に、ここで映像やプロデュース、レコーディングの裏方まで、幅広い視野を身につけて、音楽業界に羽ばたいていってほしいです。

東邦音楽短期大学コンポージングアーティスト専攻を卒業。5歳の頃からピアノを習い始め、高校時代の部活動をきっかけにキーボードを始める。
大学在学中の頃から音楽制作やライブサポートなど精力的に活動する。
ピアノやストリングスを使った繊細な曲から、ハードなメタルサウンドまで幅広くこなす。
