教員レポート

教員レポート

声楽:伊藤和広

平成28年10月3日(月)からの2週間、ピアノ、フルート、サクソフォン、ホルン、メディア・デザインの学生計12名のウィーン研修に、引率教員として同行しました。
 
教員レポートを担当するのも今回で2度目となりますので、レッスンを通して日々成長する学生を追った前回とは、やや視点を変えてレポートしていきたいと思います。
  
◆まず始めに
引率として来ているここウィーン、毎年来る度に「やはり本場に来ないといけない」と、いちクラシック音楽家として強く感じます。
本学では、大学3年次必修科目としてウィーン研修(短大は2年次に選択科目として履修可能)があり、若いうちにこの経験ができることは、あまりに幸せで収穫の多い学びであるとつくづく思います。
 
◆大作曲家たちが眠る墓地
例年通り、ウィーンに到着すると翌朝より研修がスタートします。
午前中にオーストリア事情を学んだ上で、午後にシェーブルン宮殿と中央墓地を見学します。
この中央墓地の名誉地区には、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ヨハン・シュトラウス(父と子)、グルック、ヴォルフ、スッぺなどの作曲家が集まっており、世界中を見てもこのように大作曲家がひとまとまりで埋葬されている墓地は他に例がなく、何かインスピレーションを感じることのできる場所であることは間違いありません。
音楽家であれば、誰しも一度は訪れたい場所でしょう。
 
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写真:中央墓地に向かう一行
 
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写真:シューベルトのお墓
  
◆レッスン
中央墓地にて偉大なる楽聖たちへのご挨拶を終えると、その夜または翌朝よりそれぞれが修了演奏会に向けてレッスンに入っていきます。
今回ご担当いただくのは、ピアノがProf.Van Zabner、Prof.Schön、フルートがProf.Schmeiser、サクソフォンがProf.Rohrsdorfer、ホルンがProf. Altmann、メディア・デザインがProf.Hauserの各先生方で、いずれの先生もウィーンそして世界を代表する一流の音楽家です。→ウィーン教授陣はこちら
いつも情熱的なVan Zabner先生が、「音楽人生の分岐点となるような何かを今回の研修(レッスン)で持って帰って欲しい」とおっしゃっていましたが、学生たちは確実に多くの刺激を受けているようでした。
  
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写真:サクソフォンのレッスン風景(TOHOウィーンキャンパス内)
  
◆東邦ウィーンアカデミー(TOHOウィーンキャンパス)のロケーション
実はとても恵まれた場所に位置しています。
シェーブルン宮殿の庭園西側、通りを挟んだ目の前がキャンパスの門。しかもお隣は、ヨハン・シュトラウスが喜歌劇「こうもり」を作曲したお宅(現在は一般住居)です。
また、ウィーン国立歌劇場などがあるウィーンの中心地カールスプラッツ駅までも地下鉄でちょうど10分。最寄駅のヒーツィング駅まで歩いて10分と、なんとも恵まれた環境なのです。
 
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写真:J.シュトラウス「こうもり」を作曲(お隣りさん)
  
◆ベートーヴェンゆかりの地
ウィーンの北のはずれにハイリゲンシュタットという地があります。
ベートーヴェンが住んでいた家や、「エロイカ」や「田園」を書いたいくつかの名所があり、中でも【ハイリゲンシュタット遺書の家】は特に有名です。
この遺書は、1802年の10月(ちょうど今頃の時期)、自宅近くにある教会の鐘の音がついに聴こえなくなってしまったことに絶望し、弟に宛てて書いたものとして、日本でもご存知の方は多いでしょう。
美しい秋のウィーンの森を歩いていくとひっそりとたたずんでいるその教会、そしてそのエピソード......。実際に教会を目の前にした学生たちは、しばし言葉を失い、各々様々な思いを頭の中にめぐらせている様子でした。
この遺書の家には、記念館としてベートーヴェンの毛髪やデスマスクなども展示されており、こちらもやはり実物を目にした記憶はいつまでも残ることと思います。
 
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写真:ハイリゲンシュタットにて
 
◆音楽史と美術史
クラシック音楽家を志すものにとって、世界史を学ぶことに加え、音楽史と美術史の繋がりを知ることは、時代背景に合った演奏をするために必要不可欠です。
この研修では、様式学の講義を受けた上で、美術史博物館にて1500~1600年代の名画を実際に目にすることにより、音楽との繋がりへの理解を深めていきます。
日本では味わうことのできない大理石の床と柱からなるこの荘厳な美術史博物館は大変スケールが大きく、思わずため息をついてしまいます。
正面階段を上がると壁画のクリムトに始まり、デューラー、ルーベンス、ブリューゲル、フェルメール、ヴェラスケス、アルチンボルド、ラッファエッロ......と、芸術家の卵である学生たちにはとても刺激的です。
ここでも多くを感じ、学ぶことができました。
 
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写真:美術史博物館へ
 
◆モーツァルトが生まれた町
研修の終わりに、モーツァルトが生まれたオーストリアもう一つの音楽の都ザルツブルクを訪れます。
夏の「ザルツブルク音楽祭」や、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台として有名なこの町ですが、やはりなんと言ってもモーツァルトの原点に触れられることが学生たちにとっては貴重です。
モーツァルトが1756年1月27日の夜に生まれてから17歳まで住んでいた生家では、自筆の楽譜や財布、毛髪などが展示されており、17歳の時に一家で引っ越した住居は、戦時中の爆撃で一部破壊されてしまった部分もモーツァルトが暮らしていた当時の姿に再建されたことで、生家・住居ともタイムスリップをしたかのように雰囲気を感じ取ることが出来ます。
天候にも恵まれたこの日、数多く残されているモーツァルトのエピソードを思い浮かべながらこの町を歩いていると、様々な情景が目に浮かんできたのは、私も学生たちもきっと同じだったに違いありません。
研修旅行のとても良い締めくくりの一日となりました。
 
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写真:モーツァルトの住居前にて(ザルツブルグ)
 
◆最後に
偉大な作曲家たちが今も眠るここウィーンでは、世界三大歌劇場の一つであるウィーン国立歌劇場をはじめ、フォルクスオーパー、ウィーン楽友協会、コンツェルトハウス、アン・デア・ウィーン劇場等にて毎日演奏会が催されています。
毎晩同時間帯に世界的な音楽家が街のあちこちで演奏するような街、ウィーンが「世界一の音楽の都」と言われる理由がよくわかります。
研修日程には、国立歌劇場でのオペラ鑑賞と楽友協会でのコンサート鑑賞が含まれていますが、この他にも自由に観に行くことができます。
学生の中には、ほぼ毎日のように出かけて行き、オペラ数本とコンサート数本を立て続けに観る者もおり、このような学生の顔つきの変化を見ていると、この研修の重要性を改めて実感致します。
若い学生のうちに本物に触れることが出来るこのウィーンでの2週間、レポートではお伝えしきれないことが沢山あります。
これからウィーン研修に行く学生は楽しみに、終えた学生は感じた記憶を大切に、いつまでも音楽の勉強を続けて欲しいと思います。
 
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写真:ウィーン楽友協会にてコンサート鑑賞後 集合写真

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