教員レポート

教員レポート

声楽:伊藤和広

  
平成25年9月9日(水)からの2週間、ピアノ、声楽、ホルンの学生計19名のウィーン研修に、引率教員として同行しました。
  
9月9日(水)
初日。オーストリア共和国 ウィーンに到着。
バスで東邦ウィーンアカデミーへ。
2週間お世話になるアカデミーの林千尋先生とご対面。皆、長旅の疲れはあるものの、わくわくした様子でした。
  
9月10日(木)
いよいよ研修がスタートです。
午前中は、林先生によるオリエンテーション、オーストリア事情(歴史と音楽)、午後は、ウィーン市内見学、更に声楽の学生は、夕食後、シーゲル先生による朗読法と盛り沢山。
シーゲル先生のレッスンでは、常に身体をリラックスさせることの大切さ、ドイツ語の子音が身体全体に響く感覚を学びました。
この日、やや曇り空のウィーンでしたが、シェーブルン宮殿の美しさ、偉大な作曲家たちが眠る墓地に、思わず息を呑む一日となりました。
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写真:シェーンブルン宮殿 集合写真
  
9月11日(金)
昨日に引き続き、午前中は、林先生によるオペラ研究と楽曲解釈。様式学について徹底的に学びました。午後は、ホルンのアルトマン先生によるレッスン初日、作曲家による演奏スタイルの違い、音符の扱いの違いまで細部に渡り、実際に歌って教えてくれます。
夜は、ヘルビッヒ先生による声楽レッスン初日。まずは、大切な身体のウォーミングアップ法をとても明るく楽しく教えていただきました。その後、コンサート形式で一度全員が歌い、個々にワンポイントアドバイスをした上で翌日へ持ち越しとなりました。
  
9月12日(土)
この日は、午前中から、マリアン先生による「学生・大人のためのピアノ教育法」、更にピアノレッスンと続きました。
一つのテーマに対し、一人づつ意見を述べさせた上で、具体的にどのように教えていくべきかを学びました。意見交換をすることにより的確にイメージすることの大切さを様々な角度から学ぶことが出来ました。
レッスンでは、まず一度通して弾き、その上でどうしてこうなるのか、どのようにすれば作曲家の求める音楽になるのか、こちらも的確なイメージを持つことで多くを学びました。午後から夜は、声楽ヘルビッヒ先生のレッスン2回目。この日は聴講なしの完全個人レッスン。昨日聴いた中での問題点を、一人づつ改善していきます。声楽にとっての基礎、身体の使い方、それぞれの悪い癖を指摘し理解させた上でのレッスンでは、響きの感じ方、筋肉のメカニズムの重要性を学びました。
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写真:ピアノ レッスン
  
9月13日(日)
穏やかな日曜の朝、今日は声楽のみがレッスンです。と言ってもヘルビッヒ先生ではなく、コレペティツィオンのブッシュ先生から音楽的なこと、言語のこと、様々なことを学びます。感情表現を伴うドイツ語の子音は極めて色彩豊か、それをブッシュ先生は、時に喩え、時に演じてみせ、あらゆる角度から学生たちに吸収させてくれました。ドイツ語のディクションの奥深さを改めて痛感した一日でした。
  
9月14日(月)
レッスンの日々が続いています。今日はホルンのレッスンからスタートです。アルトマン先生、今日も朝から歌いながらのご指導。歌って歌って、その中で必要なブレスのタイミング、アクセントの位置、フレージング等を改善していくレッスンでは、歌うことの重要性を学びました。午後のピアノレッスン、ファン・ツァブナー先生は、とても情熱的で明るいお人柄。学生と常に語り合いながらのレッスンで、個々の持つ感性や身体能力が自然と溢れ出ていきます。やはり、歌うことの重要性をしみじみと感じ、多くを学ぶことが出来ました。
この日の夜は、ウィーン楽友協会でのバイエルン国立放送交響楽団によるヴェルディ「レクイエム」。素晴らしい演奏とホールの響きに、皆、酔いしれました...。
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写真:ホルン レッスン
  
9月15日(火)
今日は、夜の声楽レッスンを除いては、外での研修(音楽史跡研究・文化史体験)として、ベートーヴェンゆかりの地ハイリゲンシュタットや美術史博物館などを訪れました。時代の異なる美術作品と音楽作品の共通点に関して、理解を深めました。
研修も1週間が経ち、学生は空き時間に各々観光やコンサートに出かけている為、この頃になると、地下鉄や街にも慣れてきているようです。
ランチは、Cafe Mozartで。アカデミーでは、朝は当番制の自炊、昼と夜は、スティールさんが食事を作ってくれるので、全員揃って外でのランチにも、皆、とても楽しそうでした。
  
9月16日(水)
今日はピアノのレッスン日。お二人の先生から前回のレッスンで出された課題を、各々試していきます。
夜は、ウィーン国立歌劇場でのオペラ。ヴェルディイヤーの今年は、あちらこちらでヴェルディの曲がプログラムされており、本日の演目もヴェルディ「ドン・カルロ」です。
ウィーンフィルはもちろん、キャストも大変素晴らしく、興奮の一夜となりました。
  
9月17日(木)
朝から晩までレッスン詰めの今日は、ホルンからです。アルトマン先生、2年前にウィーンフィルを引退されたそうで、昨夜聴いたあの響きが頭に残っている中でのレッスンは、なんとも贅沢です。午後は、声楽ヘルビッヒ先生、夜は、マリアン先生のピアノレッスン。
日本人の音楽家の卵たちにとっては、やはりVorhalt(独)Appoggiatura(伊)倚音(日)の扱い方が大変難しいようです。声楽は、それを歌詞でやるわけなのですが、いずれにせよ、楽曲のスタイルはもちろんのこと、自分が演奏する作曲家の言語が持つリズムや響きを理解することの重要性、これは言うまでもありません。
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写真:声楽レッスン
  
9月18日(金)
今日の朝一、声楽のヘルビッヒ先生は、やはり今日も発声がメインです。声楽は身体が楽器ですから、自然な倍音の鳴りを操れるような良い楽器になるまでには本当に時間と手間がかかるのです。この他、ピアノの学生は、昨夜のマリアン先生のレッスン以降、明日の修了演奏会に向けてのGPとなりました。
午後に行われたファン・ツァブナー先生による「幼児・子供のためのピアノ教育法」では、幼い子供たちにピアノがつまらなくなるような指導を避けるための、ウィーン国立音楽大学出版で実際に使用されている、先生著作の教材を例に取り、熱心に講義をしていただきました。幼い子供たちでも興味を持てるような絵や言葉に音符を関係付けたり、自然に歌わせたりの指導法。日本との違いに、学生たちも、自分も是非試してみたい!と大変意欲的に学習していました。
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写真:声楽レッスン
  
9月19日(土)
本日、ついに修了演奏会の日を迎えました。
午前中、残っていたホルンと声楽がGPを終え、午後の開演です。
緊張で迎えた本番、それぞれが今回のレッスンの成果をしっかり披露してくれました。そして、今後の課題も見つけることが出来たその顔からは、達成感に加え、更なる向上心が溢れていました。
その後、レポートの時間を3時間程経て、夜は全員でレストランへ。
大変充実した一日でした。
  
9月20日(日)
ザルツブルグ研修の一日。この日は、早朝にアカデミーをバスで出発し、終日ザルツブルグで過ごしました。
雄大なアルプスを背に、ミラベル庭園やモーツァルトの生家などを訪れました。
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写真:モーツァルト銅像
  
9月21日(月)
今日は、午前中が自由研修、午後にアカデミーの大掃除。 帰国に向けての準備となりました。
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写真:アカデミー
 
9月22日(火)
朝、荷物集荷。お世話になったアカデミーともお別れです。一行、ウィーン空港へ。
頭の中が作曲家の音楽に満ちている。
自分から何か余計なことはせず、音楽の方が降ってきて、自然と演奏に現れる。
こういったことは、本場で勉強するならではの魔力のようなものかも知れません。
この2週間、私もイタリア留学時代のことを度々思い出しながら過ごしていました。
学生たちにとって大変有意義であったこのウィーン研修の日々は、それぞれが今後歩んでいくであろう芸術(音楽)人生に繋がる非常に大きな一歩となったことでしょう。
 
9月23日(水)
帰国。
 

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