Vol.06 石澤 潤

石澤 潤

東邦は音楽と向き合い、刺激を受け、大切なことを学んだ時期。

小さい頃からヴァイオリンを習い、さらに専門的なことを学びたくて、高校の夏期講習へ参加しました。とても熱心に指導してくださる先生と出逢い、その先生に習いたいと思い東邦を受験しました。
東邦は、とにかくアットホームな学校で、居心地の良い場所。高校の休み時間、教室のピアノはいつも誰かが弾いて、それを嫌がる人もいない。むしろそれが幸せなことだったと思います。大学に進学してから毎年、東邦祭(学園祭)にてオーケストラ、弦楽四重奏やピアノクインテットなどの室内楽の演奏を行いました。自主的に演奏会を企画し演奏を行うことで将来へつながる一歩にもなり、勉強になりました。また、ウィーンアカデミー研修は常に発見の連続で、あっという間の15日間でした。できることなら1ヵ月は滞在していたかったです。実は演奏旅行には2回も参加しています。1回目は三室戸学園創立60周年記念コンサート。オーディションに合格してセカンドヴァイオリンにて特別参加、日本とオランダで演奏を行いました。2回目はフィンランド。シベリウスが作曲した風景がそこにありました。
常に音楽と向き合い、色々な楽器の刺激を受け、自らの音を見出していく。音楽は言葉の連続で小節にはとらわれず、呼吸が非常に重要なのだと学んだのはこの頃でした。東邦があるから今の私がいます。自分を見つけ、自分を学んだ場所でもあり、故郷ですね。

すばらしい楽器を後世に残したい。

石澤 潤

私と自動演奏楽器との出会いは大学在学中。在籍していた地元の弦楽団は毎年お盆の時期に河口湖で合宿を行っていて、夜には湖畔にて花火をやっていました。ある年、いつも花火をやっていた場所に入れなくなり、「何かが建設されるのだな」と感じていました。翌々年、そこにはオルゴール館が誕生していたのです!それではということで、みんなで行くことになりました。
そこで出会ったのは、アップライトピアノの上にヴァイオリンが3丁付いたドイツ製の自動演奏楽器でした。かなりの衝撃を受けたのを今でも覚えています。人間でも弾くのが難しいヴァイオリンを、およそ100年前に自動化されていたのです!なんとも見事な演奏で、スピッカートも見事にこなし、ビブラートまでかかるではないですか!衝撃的な出会いでした…。この楽器がきっかけで頻繁に河口湖オルゴールの森に通うようになりました。このようなすばらしい楽器をぜひ後世に残さなければいけない、残したいと思ったのがこの世界に入るきっかけとなったのです。
そして現在。私の熱意が伝わり、毎朝このヴァイオリンの自動演奏楽器のチューニングを行っています。 他にも館内にある自動演奏楽器やオルゴール、オートマタの調整・修理・修復も行い、自動演奏楽器やオルゴールの解説、お客様より依頼されたオルゴールの修理・修復、オルゴールの販売も行っています。2021年10月現在、館内のヴァイオリン工房にてストラディヴァリウスを展示しており、毎日銘器に触れることが出来るのは、大変名誉な事だと感じております。

自動演奏楽器の詳細
https://kawaguchikomusicforest.jp/concert/main-hall/
この他に、タイタニック号に搭載予定だった自動演奏楽器等も所蔵しています。

「音楽とは何か」、自問自答し続ける。

私の目標は、「先人たちが残してくれた自動演奏楽器を後世に伝える」です。 学生のみなさん、在学中は沢山の音楽に出会い、演奏しましょう!専攻に偏らず、いろいろな音楽、楽器、歴史、文化、自然を感じましょう!そして常に、「音楽とは何か」自分自身に問いかけましょう!

プロフィール

石澤 潤

1997年東邦高等学校卒業、2001年東邦音楽大学卒業後、オーケストラ研究員、音楽教室のヴァイオリン講師、フリーのヴァイオリン、ビオラ演奏者として全国で演奏活動を行う。2004年7月、(株)下倉楽器に入社。
2007年8月、(株)河口湖うかいに入社。現在はミュージアムショップ部勤務。ストラディヴァリウス展、担当。

河口湖音楽と森の美術館ホームページ
https://kawaguchikomusicforest.jp/