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講習会・セミナー

第2回 東邦声楽セミナー報告

大島洋子先生インタヴュー

「発声が先行せず、自然体の表現で心に染みる歌を歌いましょう」

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有山静枝先生インタヴュー

「呼吸が悪かったら、どんなにいい喉をしていてもダメですね。」

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講座当日のスケジュール 平成26年8月23日(土) 会場:文京キャンパス

10:00~10:20 オープニング 学長:三室戸 東光/声楽主任:大島 洋子

10:30~12:00 講座Ⅰ 講師:大島 洋子
「美しい日本語で日本歌曲を歌いましょう」パートⅡ

13:00~14:30 講座Ⅱ 講師:名誉教授 有山 静枝
「自分の声で歌いましょう」~よい発声のための呼吸法~

10:30~15:30 レッスン

15:45~16:45 懇親会

大島洋子先生インタヴュー

「発声が先行せず、自然体の表現で心に染みる歌を歌いましょう」

──講座をなさってのご感想はいかがですか?

大島 「子音を立てると母音が生きるんですね。」とある方から言われました。
「今までどうやって言葉を出していいか分からなかったけれど、子音を立てることによってリズム感がはっきりして、言葉をよく出せるようになるんですね」と。ですからそういう意味では成功だったのかなと思います。母音の勉強はしますが、あまり子音の勉強はしませんからね。

──日本歌曲を歌う上での母音と子音との関係についてお話しください。

大島 まず母音をきちんと確立していなければ、日本語の言葉として成り立っていきません。それで昨年は母音を中心に講座でお話をさせて頂きましたね。皆さんは習慣的に口を開けて歌っていますが、それでは一般的なポピュラー・ソングと同じになってしまいます。声楽のポジションというのは、やはりそれよりも少し開いているし、少し閉まっているのです。ですから、口の中の空間が結構あるんです。それをきちんと踏まえて歌うことで、その人の持っている本来の声が音色としてきれいに歌となっていくのです。母音をないがしろにして歌は成り立っていかない。それはオペラも同じだと思います。
ただ日本語の母音はもともと発音される位置が浅いですから、その浅い位置だけを意識してしまうと軽い音楽になってしまいます。「あ」の位置を3つくらいに分けておけば、位置を変えていくことによって曲の持っているニュアンスがより出てきます。それができるのは、「あ」母音と「う」母音と「お」母音だけで、「い」母音と「え」母音は位置が前なので、これは音を変えられないんです。

──つまり「い」と「え」の発音は口の奥には行かないということですか?

大島 「い」と「え」は行きません。「あ」は、発音の位置を奥にしていけばもっと深い音の「あ」になります。でも「え」は、奥にしていくと曖昧母音のようになってしまって、決して「え」にはなりません。日本語は、開いた母音、暗い母音、明るい母音はありますが、曖昧母音はありません。ですから講座では「あ」「お」「う」母音の位置を3つくらいに分けて(実際にはもう少し細かく分かれますが)、昨年は「夏の思い出」を使って、この音の「あ」母音は3つ目の位置を使って奥に、こちらの音の「お」母音の場合は2つ目の位置を使って中間に、という具合に開けたり閉めたりして歌ってもらいました。これを学習した後で歌ってもらったのと、最初に何も指示しないで歌ってもらったのとを比較しますと、後で歌った方は母音を使う位置が変わるので、声に奥行きが出て、色合いが変わってきたかなと思いました。
昨年の母音の作り方を基礎として、今年は子音を取り上げました。子音の場合は、発音する位置は最低でも25あります。それが母音と組み合わされるわけです。その勉強のために、今回は3曲の歌を用意しました。
まず「髪」(原條あき子作詩、中田喜直作曲)という日本歌曲を選びましたが、これは最初の1ページ半が、メロディーはあるけれどリズムがないレチタティーヴォ風に書かれていて、しゃべり言葉で流していける歌だからです。そのために子音を際立たせることができます。そして日本語をしゃべるテンポで音符にとらわれず、子音を乗せながら語っていくことが出来るのです。
後の2曲は「ちいさい秋みつけた」(サトウ ハチロー作詩、中田喜直作曲)と「白月」(しらつき、三木露風作詩、本居長世作曲)で、誰でも知っていて口ずさむけれどちょっと童謡っぽく歌ってしまいがちな「ちいさい秋みつけた」と、それとは歌い方が対極の「白月」です。もう少し極端なものもありますが、これ以上になりますとポピュラー・ソング的になりますので、この2曲を選んで子音の勉強と同時に色合いの違う歌曲の子音の入れ方とか、音の支え方などをお話しさせていただきました。

──「ちいさい秋みつけた」は唱歌に近く、「白月」は芸術歌曲と言える歌で、講座で先生が「白月」を歌われたのを聴きますと、声の響き、口腔のどの辺りを使っているのか、その違いがよく分かりますね。

大島 そうですね。でも、あまり皆さん意識されていませんね。そこのところを意識していけば、もっと生き生きと歌えると思うのです。子音、母音の正しい位置をみつけて歌うことで詩の持つとても細かいニュアンス、言葉の表現が広がります。 今回は「シ」「シュ」「ツ」といったあまり日本語としては強調しない子音がたくさんある曲を選んでみました。母音唱法で響きを流すと、「shi」「shu」「tsu」の母音の前に付いている子音の“sh”や“ts”などが意外に出ないんです。それは音符の長さが決まっているので、子音を強調すると母音が短くなってしまう。そのやり繰りが上手くいかないために、母音を優先してしまうという特質が皆さんあるのです。
響きについて言えば、母音を口腔、鼻腔で意識している人の声は、近くでは小さくても、ホールでは響きます。響きを意識していない人は、近くでどんなに大きく聞こえても、共鳴しているのではなく、地声の大きな声が鳴っているわけです。それらの人の歌を客席で聴いていると、会場での声の通りの悪さに驚くことがあります。声楽家は大きな声を出しているわけではなくて、共鳴させているのです。
私はこう考えます。声帯の響きが20%、口腔が20%、鼻腔が20%、そして身体の支えの部分が20%、後は空間に放して行く息の流れです。それで100%になるわけで、声帯が100%鳴っていたら、オペラ1本歌うのは大変です。

──声帯が疲れてしまう?

大島 はい。リサイタルでもきっと大変でしょう。声帯以外の口、鼻、体の響きを足しているからこそ、声帯が楽に安定した状態を保てるのです。

──声帯に負担を掛けていないということですね。

大島 そういうことです。誰もが声帯に負担を掛けて歌うつもりはないのでしょうが、発声をきちんと踏まえて声を出していかないと言葉も伝わりませんし、音色も定まりません。音楽が伝わっていかないのではないでしょうか?何より、本人が苦しいかもしれませんね。
講座で演歌の話をしましたが、演歌歌手は言葉のさばきが上手いですよね。演歌には演歌の歌い方がありますからクラシックと一緒にはなりませんが、言葉のさばきとか身体の使い方とかは同じです。演歌の人は口腔の前側で歌っていますので音程は比較的取り易いです。私たちも前の方を使いますが、奥の響きをよく使いますので、音を発していくのに距離があって、使う場所によって上手に口の中のポジションを作っていかなければ、次に発する音の音色が違ってきてしまいます。マイクを使いませんし、共鳴を意識しながら歌っていきますので、言葉の作り方が非常に難しいのです。言葉だけが伝わっても、メロディーだけが伝わっても歌にはなりえません。美しい言葉を良いポジションで支えられた声を使い、力まず歌えれば、詩の持つ情感を上手くメロディーに乗せていけますし、素晴らしい表現へと繋がっていくでしょう。
私はよく「演歌歌手のように歌ってください」と言います。勿論演歌を真似るのではなく、発声が先行せず、自然体での表現で歌を伝えていく、心に染み入る歌が歌えるといいですね。そういう意味で、理想は演歌です。昔からずっとそう言っているのですが、誰も賛同してくれませんね(笑)。

──日本人が日本歌曲を日本人にきちんと伝わるようにクラシックの唱法で歌うためには、母音と子音の使い方が難しいのですね。これからもこの講座を是非続けてください。有り難うございました。
(訊き手・文:横谷貴一=音楽ジャーナリスト)

有山静枝先生インタヴュー

「呼吸が悪かったら、どんなにいい喉をしていてもダメですね。」

──講座をなさってのご感想からお伺いします。

有山 私が思っているよりもずっと大勢の方がいらしてくださって、まずそれで感動しました。もっと積極的に御質問が出るかなと思いましたが、それはあまりありませんでしたね。皆さん一所懸命に聴いてくださって、とても嬉しく思いました。

──講座では5人の方が歌われましたが、普段のレッスンでも、今日のように歌っている最中に声の出し方とか呼吸の仕方とかを注意なさるのですか?

有山 はい、そうです。まず発声を5分くらいしてから、持ってきた歌を聴きながら、言葉を一言一言直したりしています。私の今の生徒は年齢的にも高くなって来ましたので、日本歌曲を歌いたいという方が多いです。私も日本歌曲を教えた方がいいと思っているのです。私の専門はドイツ歌曲ですが、生徒たちは家事をやりながらピアノ教師をしたりとか、そういう方たちがレッスンに通って来ますので、皆さん時間があまりないんですね。ですからドイツ歌曲となると勉強する時間がとられますので、日本の歌なら辞書を引かない分だけ勉強し易いということもあって、日本歌曲を習おうという方が多いのです。でもアリアもリートも教えています。

──講座でのレッスンではオペラ・アリアでしたが、先生が最も大事だと仰る発声は、オペラ・アリアでもドイツ・リートでも日本歌曲でも、共通するものですか?

有山 そうです。全部同じです。日本語にしてもドイツ語にしてもイタリア語にしても、使う口の中の状態は同じでなければ、はっきりとした発音はできません。どの言語にも共通することです。

──その他に大切なことは何でしょうか?

有山 やはり力を入れないことです。特に顎から口の中は、力が入ってしまうと拙いです。力を入れず、舌も楽に、柔軟にしていなければいけません。舌を捻って裏返しにするようなことができるくらいの柔軟さがある人は、それを覚えるのも早いですね。舌に力を入れると、声が素直に出ずに詰まった感じになってしまいます。そうせずに、全部スムーズに出すことが、どの言葉であっても共通で、大事なことですね。

──言葉が素直に出ることが大事ということですか?

有山 そうです。声がムラなく出て、どの言葉にも力が入らずに発音できるということを一番の根本にして、それから後、勿論表情は大事ですが、アクセントなどを強調します。

──今日は声帯のお話もされていましたが、そのご研究もなさったのですか?

有山 声楽の恩師の大熊文子先生から教えていただきました。講座では、ドイツのフレデリック・フースラー先生とイヴォンヌ・ロッド=マーリング先生のお二人がお書きになったものを、発声についてお二人で研究なさっていらした東大の耳鼻咽喉科のお医者様の須永義雄先生と声楽家の大熊文子先生とでお訳しになった「うたうこと」発声器官の肉体的特質〜発声のひみつを解く鍵〜(音楽之友社刊)から、声帯や甲状軟骨などの図をご紹介しました。その大熊先生が芸大の先生方など50名くらい集めて研究会をなさっていましたが、次第に一人減り二人減りして、結局先生と私だけになってしまいました。先生は大変な勉強家でしたし、私は先生を非常に信頼申し上げておりましたので、お亡くなりになるまで先生とご一緒に勉強させていただきました。今もこうして指導を続けることができているのも、大熊先生のお蔭だと思っております。

──有山先生が発声などに興味を持たれて研究をされていらしたのは、大熊先生との出会いが元だったのですか?

有山 私が藝大に入りました頃でも、藝大生は大体声を持っているんです。私も割と声は持っておりましたし、どちらかと言えば豊かな方でしたから、声に不自由はしませんでした。ですがいろいろな表現をしようとしたときに、その声が使えないんです。自分の持ち声だけではダメなんです。そんなことでは歌を続けていくことはできない、歌えるようにするには根本的に発声を直さなければダメだ、きちんとした発声の技術を身につけたい、と思ったことが初めでした。
1年生の時に、当時一番若い先生に1年間だけ就くように教務課から言われまして、就いたのが大熊先生だったのです。ところが勉強家でとてもいい先生でしたので、この先生に就いていたら間違いないと思い、結局最後まで大熊先生お一人に就いておりました。先生は二期会でお歌いになっていらっしゃいましたし、私も二期会に入りましたから、勿論指揮者の先生やいろいろな方からのご指導もありましたが、声の根本は大熊先生のご指導のお蔭なんです。
先生は大変良い声を持っていらっしゃいましたし、オペラも主役をよく歌われましたが、ご自身でも欠点はよく分かっておられたので、発声について大変研究していらっしゃいました。それで、「あなたたちにはちゃんと伝えたい」と仰って、教えてくださいました。私も教えていただかなかったら歌えなかっただろうと思えるものも、お蔭様で歌えるようになりましたし、今は85歳になりましたが、それでも生徒には負けないくらい声は出ます。
今から10年くらい前でしたでしょうか、先生がお亡くなりになる半年程前に、当時先生がいらしたドイツに行きまして、先生と二人でシュトゥットガルト近郊のきれいな湖の近くをハイキングしました時に、その湖畔で先生に「あなたしか発声の指導を任せられる生徒はいないから、是非私の後を継いで日本でいい指導をしてちょうだい」と言われまして、「大変重荷でございます」と言いましたが、今日皆さんに少しはお伝えできたので、先生への恩返しが少しはできたかなとふっと思いました。

──特に呼吸が大切だと仰っていましたが?

有山 そうです。呼吸が99%なんです。呼吸が悪かったら、どんなにいい喉をしていても全然だめですね。ですからその呼吸法が大事なんです。今ウィーンでもドイツでも、そこを教えるという意味では、これはという先生はあまりいませんね。
声帯の図を資料に載せましたが、呼吸をする時にはその声帯は開き、声を出す時にはそれが閉じて振動して声になります。この声帯が大事な所で、これを悪くしてしまうとどうしようもありません。ピアノを弾く時は指が見えますが、喉の内部は見えませんから、非常に難しいのです。声を聴いて喉が詰まっているかどうか、どこに力が入っているのかを判断できなければ、声楽ではいい先生とは言えません。これは訓練と教えた経験ですね。それがちょっと分かるようになってきたところです。皆さんの前でレッスンをして、間違っていないことを申し上げられる自信が、85歳になってやっと出てきました。
これは耳の訓練もあります。そのためになるべくいい歌い手の歌を聴きたいので、年に1回か2回、ニューヨークのメトロポリタン・オペラに行き、世界中から集まっているオペラ歌手の声を聴いてずっと判断してきました。以前はいろいろな方がいましたが、今はみんな素晴らしいですね。どなたの歌を聴いても素晴らしいです。私の理想とする発声をしています。聴いていてものびのびとしていますね。これじゃなきゃ、という歌い手ばかりになってきました。

──教えた経験と仰いましたが、教えながらご自身の研究をなさってこられたわけですか?

有山 そうです。それが一番なんです。教えるということが自分の勉強です。悪いですが、ある意味、生徒が実験台ですね。レッスンしていて、こうしてみてと言うとそのとおりどんどん私の思うようにやってくれたので、今日歌ってくれた生徒たちも、どこへ出しても恥ずかしくないだけになりました。幸い東邦音大の生徒は本当に素直なんです。私が教えたことを素直に受け入れてくれます。ですから私のところでは、喉を壊して歌えなくなるという生徒は一人もいません。他の音大の学生で、喉を壊したから教えてくださいと来る人がいますが、気の毒だなと思います。
私は大熊先生の教えを忠実に守って、声帯をいじめていませんので、生徒が高い声を出しても一緒に出せます。エネルギーがありませんので、その部分だけですが。

──まだまだお元気でいていただいて、これからもいい生徒さんを育ててください。有り難うございました。
(訊き手・文:横谷貴一=音楽ジャーナリスト)

<当日の講座内容>

講座Ⅰ「美しい日本語で日本歌曲を歌いましょう」パートⅡ
講師:大島 洋子

講座Ⅰ「美しい日本語で日本歌曲を歌いましょう」パートⅡ

昨年の声楽セミナーでは"美しい日本語で日本歌曲を歌いましょう"をテーマに母音に焦点を当て、また実際に歌曲を歌いながらお話しを進めて行きました。母音作りは日本歌曲を歌う上で基礎作業でありながら、その一曲の出来上がりを大きく左右するものです。この手間は一回で伝え切れるものではありませんので、本年はそのパートⅡとして、曲の中からさらに母音の持つ色合いを引出し、旋律との融合を見出して行きたいと思います。

講座Ⅱ「自分の声で歌いましょう」~よい発声のための呼吸法~
講師:名誉教授 有山 静枝

講座Ⅱ「自分の声で歌いましょう」~よい発声のための呼吸法~

身体が楽器となる声楽は、一人一人が独自の音(声)を持っています。音作り、声作りを丁寧に学ぶことによって、豊かな音楽表現が出来るようになります。では「自分の声で歌う」とは、「自然な息の流れで歌う」とはどのようにしたらいいでのでしょうか。本講座では公開レッスン方式で、良い発声のための呼吸法をお話していきたいと思います。

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