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講習会・セミナー

第7回東邦ピアノセミナー報告

講座当日のスケジュール 平成25年7月28日(日) 会場:文京キャンパス

10:00~10:20 オープニング 学長:三室戸 東光/ピアノ主任:久邇 之宜

10:30~12:00 講座1 講師:小林 律子
「時代様式に基づいたピアノ演奏とは-7」~バロックから古典へ~

13:00~14:30 講座2 講師:小島 佳男
「作曲家の伝えたいことは?」

14:45~16:15 講座3 講師:久邇 之宜
「R.シューマン。その作品と演奏」~光と影の具現者たち~

10:30~16:15 レッスン

16:30~17:30 懇親会

夏の恒例となった東邦ピアノセミナー。今年は久邇之宣ピアノ主任教授が牽引し、興味深い3つの講座が開かれました。本日は講座を担当された小林律子先生、小島佳男先生、久邇之宜先生にお越しいただき、当日の様子やご感想をお伺いしました。


――第7回を迎えた「東邦ピアノセミナー」ですが、真夏の暑さにもかかわらず、今回も多くの参加者で活況を呈しました。まず、それぞれの先生に講座の内容と目的をお聞きしたいと思います。「時代様式に基づいたピアノ演奏とは」の講座を担当された小林先生からお願いします。(以下敬称略)

小林:
「時代様式に基づいたピアノ演奏とは」のシリーズは、今回が7回目になります。これまで私以外の先生方も担当されましたが、今までの講座を振り返ると一つの演奏様式を深く考察された内容が多かったと思います。私はこの辺で「時代」というものを見据えてもいいのではないかと思いました。そこで、まず鍵盤音楽史の原点に戻って最初の「バロック期」を見直してみたいと考えたのです。私自身が古い時代の音楽がとても好きであること、できればマイナーな面に光を当てたいと思ったこともバロック期を取り上げた理由です。私だけでなく、今後もこれを皮切りに「時代」を切り口にして、息の長いシリーズにしていただけたらなと思います。
文献を調べてみると、当時の人はこんな考え方で音楽をつくったのかと驚くことが多くておもしろかったですね。16世紀には音楽は算術・幾何学・天文学とともに「数の4科」とされ、作曲家は学術の一つとして音楽をとらえていたので、アプローチが今と全然違うのです。そこに計り知れない興味深さを覚えました。

久邇:
音楽をエモーショナルにとらえるようになるのはロマン派以降ですからね。人間の感性に響く表現をするのが音楽だという意識が今の我々には定着していますけれど、バロック期の音楽家にはそういう視点は全くありませんでした。音楽は当時、数学から出発した分野としてとらえられていましたから、全く観点が違うんですよね。

小林:
ドイツの天文学者・ケプラーが、宇宙の合理的な調和を表すことが音楽であり、天体の調和は音楽で表せるなどと説いた「天体音楽論」を提唱するなど、宇宙や社会の動きの一部として音楽がある時代でした。私は歴史を紐解くのが好きなのですが、中世の文献を読むと不思議なことがいっぱいで驚きの連続です。私たちはそこを知らずに曲を弾いてしまうことが多いので、セミナーではまず当時の社会的背景や状況を知ってもらおうと思いました。そのうえでバロックらしさとは何かをより具体的にお伝えしたいと。バロック音楽というと無彩色のイメージを抱きがちですが、実は情念の音楽で、大変カラフルであり、アバンギャルドでもあるのです。また、数字を当て込んだり、象徴的なものを使ってみたりと手法にも興味深いものがあります。

――次に「作曲家の伝えたいことは?」の講座を担当された小島先生にお伺いします。

久邇:
今回初めての試みとして、作曲家の視点からピアノ楽曲の理解や演奏表現を考察していこうと、小島先生にも講師陣に加わっていただきました。子ども向けの指導にもよく利用される8つの作品を例にしながら、実演を交えての解説は受講者から大好評でした。

小島:
まず「作曲家の頭の中」というテーマで、作曲家はなぜこの構成にしたのか、なぜこの調性・転調を選んだのか、なぜこの和音にしたのか…など、10項目に分けて楽譜を分析し、作曲家が曲をつくるときの考え方や工夫した点を紹介しました。曲の分析をして、それを演奏に活かし、どういう表現をするか、受講者のみなさんがピアノ指導をする際の参考にしてほしいと考えたのです。

久邇:
「気づく耳と感性」と題して、レッスンの際にチェックしてほしいポイントも提案されていましたね。受講者にはピアノ指導をしている方が多くいらっしゃいますから、とても参考になる講座だったと思います。

小島:
作曲家が楽譜に記した意図を、ピアノ指導者はどのように生徒である子どもたちに伝えればいいのか。ピアノの指導はテクニックを重要視することも大事ですが、そこに感性を肉づけしていくには、楽譜の中の情報を生徒に伝えなければなりません。楽譜の中にはどんな情報があるのかを知ってもらおうと、①構成感、②転調感、③終止感、④ハーモニー感、⑤フレーズ感の5項目をあげ、楽譜に込められた多種多様な情報に気づく耳を育成する指導ができるように、レッスンに活かす際のアドバイスを行いました。また、バッハの『インヴェンション13番』の和声分析をして、楽譜の中に隠れた旋律が入っていることを説明したり、ショパンの『ノクターン』を半音上げて、調を変えた場合の印象の違いを演奏しながら実証したりと、作品を完成させるために「形式美」や「調」がいかに重要であるかを実演で示しました。

――久邇先生は「R.シューマン。その作品と演奏」のテーマで、シューマンを取り上げられました。その意図をお聞かせください。

久邇:
この講座では毎回、一人の音楽家に焦点を当てて開講しています。今回、私は「R.シューマン。その作品と演奏」をテーマに掲げました。私が敬愛する先生が常々「自分はシューマニアーナである」、つまりシューマンのマニアだとおっしゃっていたのですが、実は私もそうなのです。独学であるがゆえに自分に忠実に音楽を作っていたため、規格外のところがあって、そこに私は魅力を感じています。また、シューマンはとらえどころがない面があって、アプローチの仕方もさまざま。実際に演奏を聴いても、数々の演奏家によって解釈は千差万別です。極端にいえば、どこにルバート(rubato)をかけるかだけでも音楽が変わってしまいます。
そこで私は名曲喫茶のような気楽な雰囲気で、受講者に実際に過去に録音されたピアノ演奏を聴いてもらい、ピアニストごとの特徴的な演奏部分に着目してもらうことにしました。ポリーニ、シフ、キーシン、ホロヴィッツという4人の著名なピアニストの演奏を名前を伏せて流し、どの演奏が一番お好きかを聞いたりしました。同じ譜面でも弾く人によってこんなに変わるのかと実感していただけたと思います。

――講座を受講された方々の反応はいかがでしたでしょうか。

久邇:
小林先生の講座は、時代の特徴を浮き彫りにし、バロック音楽の演奏様式を再考察した視野の広いものでしたね。

久邇:
とても多くの方に受講していただきましたが、みなさん本当に熱心に聴いてくださいました。ただ、内容がやや難解だったのと、私が系統立ててうまくお話しできなかったので、もしかしたら理解しにくかったかもしれないと反省しています。リアクションが大きかったのは、当時は「3」が完全なる数字だったので、3拍子であることを楽譜に記譜するときは○印で記したという話を紹介したときでした。それが4拍子だとどうなるかと…。トリビア的な解説に、おおっと声が上がりましたね。

久邇:
小島先生の講座も大盛況でした。セミナーの受講者にとっては、今までにない新鮮な視点の講座で、発見も多かったと思います。

小島:
最も興味を持たれたのは「調」の話でしたね。終わってから、「チャイコフスキーがこの曲を変ロ長調にしたのはどうしてですか?」と質問に来た人もいました。

小島:
私の講座では、シューマンの演奏の聞き比べをしたときがみなさん一番楽しそうでした。後で4人の名ピアニストの名前を明かすと、「オオッ」という驚きの声を上げた人、「やっぱり!」と納得した人など、さまざまな反応があって、まさに私の意図した通りでうれしかったですね。

――最後にご感想をお聞かせください。

小林:
ピアノ演奏は曲の時代背景や作曲家の想いへの理解があって、より実り豊かになります。セミナーの参加者には子どもにピアノを教えている指導者の方が多く、自分のための勉強は若いときに学んだままで据え置きになってしまっているケースもあると思います。音楽の世界は広く深いので、このセミナーが再び学びの世界の扉を開く機会になればいいですね。 特にピアノ演奏は一人なので引きこもり状態になり、自己完結に陥りがちですから、こういう場で他の方の意見を聞き、刺激を受けることは大切です。これからも小島先生のように専攻が違う方にも講座を開いてもらって、ご専門で研究されたことを私たちに教えていただきたいですね。私自身にとっても貴重な機会になりました。私はマニアックなことを地道に調べるのが好きで、今までは自分だけで楽しんで知識を得ていました。今回のセミナーで、自分でわかっていることを言語化して受講者に伝えるという経験をして、自分の中に新たなチャンネルを切り拓いた気がします。

小島:
私は以前、ヤマハ音楽教室の指導スタッフとして先生たちの指導をしていたキャリアがあります。ヤマハ音楽教室では子どもたちに自作自演を指導しているのですが、その指導者に向けて「子どもたちに作曲させるにはどんなノウハウを持っていたらいいか」をアドバイスしていました。それが今日の講座内容にも当てはまりましたね。今日の講座の内容は、そのまま音楽教室の講師を指導するときの項目なのです。ピアノの先生で、作曲家の視点を知る機会のなかった方にとっては新鮮だったかもしれません。

久邇:
私は時間が足りなくて、予定していた内容の半分もクリアできず、少し歯がゆさが残りました。でも、受講者に充実した時間だったと思っていただけたら幸せですね。私がお伝えしたかったのは、演奏の表現は無限大で、こうでなければならないという縛りはないということ。ただ、教えるときにはどうしても紋切り型になる傾向がありますし、「子どもたちの個性を伸ばす」と口で言うのは簡単ですが現実には難しいことです。ですから、実際に演奏を聴き比べて、あれもいい、これもいいと感じさせるのもひとつの方法だと思います。
さて、東邦ピアノセミナーも今回で7回目を迎え、毎年の夏を彩る行事として定着してきました。継続こそ力なりを感じています。さらに発展させて、多くの方々に「来て良かった」「自分の成長につながった」と言ってもらえる機会にしていきたいと思います。これからもどうぞご期待ください。



<当日の講座内容>

「時代様式に基づいたピアノ演奏とは-7」~バロックから古典へ~
講師:小林 律子

ピアノセミナー:時代様式に基づいたピアノ演奏とは-7 ~バロックから古典へ~

今回は、鍵盤音楽史の礎であるバロック期にスポットを当て、様式を演奏に深く結びつくものとして再考してみようと思います。バロックの様式とは?“バロックらしく弾く”とはどういうことなのか? いくつかのアプローチからポイントをとらえ、検証していきます。また、その後の古典期への移行において、どの様な作曲家達がどの様なことを試みたのか? それに伴い様式にどのような変化が生じたのか? 燦然と光り輝く古典派の巨匠たちの陰に埋もれてしまった多くの作曲家たち。彼らが確実に関わったであろう古典期への幕開けと時代の変化を見ていきましょう。

「作曲家の伝えたいことは?」
講師:小島 佳男

ピアノセミナー:作曲家の伝えたいことは?

インヴェンション、ソナチネ、ブルグミュラー、シューマン、チャイコフスキー、グリーグ、カバレフスキー、バルトークなどの『子供のための曲集』や『小品集』から、音符の裏側に何が隠れているのか、指導するにあたってどのような音感教育が必要なのかを考えてみます。さまざまな終止(完全終止、半終止など)、フレーズ、ハーモニー、転調、構成など、音符以外に表現されていることを掘り起こし、それを感じる感性と「気づく耳」を育てるための教育について取り上げます。

「R. シューマン。その作品と演奏」~光と影の具現者たち~
講師:久邇 之宜

ピアノセミナー:R. シューマン。その作品と演奏 ~光と影の具現者たち~

母親の意向に逆らって音楽を志望し、裁判まで起こして妻を勝ち取ったシューマン。音楽新聞を立ち上げて既存の音楽界を痛罵する一方、ショパンやブラームスなどの新しい才能を擁護したシューマン。この「ロマン派の申し子」ともいうべき作曲家のピアノ曲を通じ、その演奏史に触れてみたいと思います。

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